怖い話

山口大学医学部の手術棟で深夜にだけ響く“ノイズ”。無人の手術室、勝手に鳴るモニター、インターホンの呼吸音──医学では説明しきれない怪異の正体に迫る。

――“反響が消える”地下で、いったい何が起きているのか------------------------------------山口県美祢市。日本最大級の鍾乳洞として知られる 秋芳洞（あきよしどう） は、観光地としてあまりにも有名だ。地底河川...

【序章】——消えたはずの庁舎は、まだ“誰かを待っている”福岡市東区・馬出。かつて福岡県の政治の中心であり、多くの県職員が働き、膨大な行政が動いていた場所。それが 旧福岡県庁 だ。現在は新庁舎へ移転し、建物は用途変更され、表面上は「過去の行政...

【序章】——その窓は、誰のために灯るのか？北九州市役所。昼間は、市民の相談や窓口手続き、会議が続く「普通の行政施設」である。だが——この建物にはひとつだけ、昔から語り継がれる奇妙な噂がある。「深夜、議会棟の上階に“ひとつだけ”明かりが点く。...

——見えない流れがつくる“第２の交通網”【序章】——深夜の道路には、車よりも“多くのもの”が流れている東京の道路を夜に走ったことがあるだろうか。車線の白線が延々と続き、街灯が規則的に並び、ヘッドライトが地面に吸い込まれるように進む。だが運転...

山に抱かれた城跡には、ときおり時代が逆流する瞬間がある。東京・八王子市に残る八王子城跡も、そのひとつだ。観光案内の看板や整備された木道があっても、ここに立つと、なぜか「今は戦国か？」と錯覚してしまうほどの静寂が押し寄せてくる。——最初に訪れ...

【導入】夜、トンネルの中であれは、梅雨が明けきらぬ六月の夜だった。那覇市の中心部から首里の丘へと車を走らせる。湿った風が窓を叩き、街灯の光が坂を這い上がっていく。——トンネルが見えてきた。首里の丘を貫くその暗い穴は、昼間でもどこか重苦しい。...

序章：おいで、と風が言った夜夜の岬に立つと、風が海を切り裂いていく。波の音が崖を舐め、遠くで雷が光った。その瞬間、耳の奥に何かが触れた。「……おいで。」誰もいない。だが、確かに呼ばれた気がした。あれは風の音だったのか。海のうなりか。それとも...

序章：夜道に忍び寄る影――僕は車のエンジンを切り、ゆっくりとドアを閉めた。海風がほのかに潮の匂いを運ぶ。視界には海面の黒い布と、街灯に照らされた路面のわずかな輝きだけ。そんな夜、場所は 糸満市（沖縄県南部）。かつて戦跡と慰霊の記憶が複雑に絡...