——誰もいないはずの場所で、仕事だけが続いている。
【序章】

——春日市役所の地下には、“今は使われていない書庫”がある。
福岡県春日市。
人口密度の高い住宅都市でありながら、
市役所周辺は比較的落ち着いた行政エリアになっている。
だがその春日市役所には、
長年ひっそりと語られる噂がある。
それは——
“地下の封鎖書庫から紙の音が聞こえる”
というものだ。
封鎖されている。
人の出入りはない。
電源も落ちている。
しかし、
「ガサッ……」
「ペラ……ペラ……」
紙をめくるような音だけが、時折響いてくる。
現役職員の証言も、退職者の証言も、清掃員の証言も一致している。
「誰もいないのに、紙の音がするんです。
あれは……仕事の音なんですよ」
仕事の音——
それは、行政文書が扱われるときの、あの独特の“動き”。
なぜ封鎖したはずの書庫で、
仕事だけが続いているのか。
春日市役所の地下で何が起こっているのか——
この記事では、その噂の全貌を追っていく。
建物が抱えた“行政の影”を探る。
誰が書いたのか分からない“残留文書”。
第一章|春日市役所と“地下書庫”の成り立ち

春日市役所には、地上階のほかに
職員専用の地下フロア が存在する。
そこには、
・旧文書保管室
・市政資料庫
・コピー機室
・事務作業室
などの“裏業務”が集まっていた。
しかし10数年前、
文書デジタル化の導入に伴い、
地下の書庫区画がまるごと封鎖されることになった。
■ 封鎖理由(表向き)
・文書の大部分を電子化した
・保管方法が変わった
・耐震基準の更新で安全性に問題があった
ただし、職員によれば
「封鎖は急だった」
という。
「普通は段階的に撤去されるんですけど、
あの書庫だけは“突然”閉じられました」
封鎖された理由は、本当に“耐震”だったのか?
第二章|封鎖された書庫から聞こえる“紙の音”

噂が本格的に広まったのは、
書庫が封鎖されて数年後のことだ。
職員が夜に地下で作業していると、
封鎖区画の奥から——
「ガサ……」
「ペラ、ペラ……」
という紙の音が聞こえてきた。
職員の証言:
「最初は、ネズミか何かだと思いました。
でも違うんですよ。
紙を束で動かす“人の手の音”なんです」
「あれは書類を整理する音です。
長年聞いてきた仕事の音そのものなんです」
書庫は完全に封鎖されている。
誰も中に入れない。
にもかかわらず、
まるで誰かが文書整理を続けているように
音だけが鳴る。
なぜか。
第三章|封鎖された書庫の内部構造

地下書庫の構造は、他の市役所に比べても特殊だ。
■特徴①:通路が細く、棚が高い
文書の量が膨大だったため、
天井ギリギリまで棚が積み上がっていた。
■特徴②:換気ダクトが古い
旧庁舎から持ち越した構造の一部が残されている。
■特徴③:奥に“未使用の小部屋”がある
資料室のさらに奥に、
“名目不明の部屋”があるという。
封鎖前に清掃を担当していた人の証言:
「あの部屋、名前がついてなかったんですよ。
でも机がひとつだけ置いてあった。
誰のものかは分からない机でした」
名前がない部屋。
持ち主の分からない机。
そして封鎖。
この構造が、後述する噂と大きく関係する。
第四章|封鎖後に起きた“監視カメラの異常”

封鎖区画の近くには、安全のために
監視カメラが設置されていた。
しかし封鎖から間もなく、
カメラには“ある異常”が頻発するようになる。
それは——
数秒間だけ、映像が“揺れる”現象。
職員の証言:
「揺れ方が普通じゃなくて……
誰かがカメラを持ったみたいな動き方をするんです」
カメラには手が届かない。
揺れる理由はない。
揺れた直後、
封鎖区画の扉付近のマイクにだけ微弱な音が記録されている。
「……ペラ……」
紙の音だった。
市長室の壁にある“秘密の出入口”。
深夜だけ灯る“不自然な窓”。
第五章|封鎖区画で最も多い“紙の種類”

書庫には様々な文書が保管されていたが、
封鎖区画に特に多く置かれていたのは、
古い会議録
と
過去の市政計画書
だったという。
会議録の特徴:
・ほとんどが手書き時代のもの
・担当者名が消えているものが多い
・改装前の組織名称が多数
・作成日時が不明な文書が含まれていた
市政計画書の特徴:
・“草案”だけ存在し、正式版が無いもの
・どの部署が作成したのか不明
・一部のページだけ印字が薄い
・同じ文書が複数冊あるものも
特に注目されているのは、
“担当者名の無い書類” だ。
封鎖書庫で聞こえる音は、
これらのページが“めくられる音”なのではないか。
第六章|清掃員が見た“影”

封鎖直後、地下の清掃を担当していたアルバイトが語る証言がある。
「封鎖エリアの窓(小さな覗きガラス)が曇ってたので、
近づいて見ようとしたとき……
向こう側に“誰かの影”が見えました」
影は動かなかった。
でも、そこに“立っていた”。
清掃員は恐ろしくなり逃げたという。
この話は内部では
「あれは影が残ってるだけだ」
と言われている。
影が残る——
建物じたいに“仕事してきた人の気配が残る”という意味だ。
だが本当に“残っただけ”なのだろうか?
第七章|なぜ紙の音だけが残ったのか?

行政建築は、
日々の膨大な作業によって“空気そのもの”が変化する。
特に文書を扱う書庫は、
■紙の擦れる音
■ページがめくられる音
■ファイルを閉じる音
が常に響いている環境だ。
その“残響”が、
封鎖後も消えずに残ったのかもしれない。
しかし、問題は——
なぜ今でも鳴るのか。
封鎖されて十年以上。
人が出入りしていないのに、
音だけが続く理由は何なのか?
職員の仮説:
「あの部屋、役割が“終わってない”んですよ。
建物がまだ仕事してるんです。」
建物が仕事をしている——
あなたのシリーズ全体に通じる“行政の残留現象”が再び顔を見せる瞬間である。

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【終章】

——紙をめくっているのは、誰なのか。
春日市役所の地下書庫。
封鎖されたはずの空間では、
今もひそかに紙の音が鳴っている。
・封鎖の急さ
・書類の種類
・名もなき部屋
・監視カメラの揺れ
・覗き窓の影
・続き続ける“紙の音”
これらが意味するものは、ただひとつ。
あの部屋はまだ、誰かの“仕事場”なのだ。
人ではない。
霊でもない。
行政建築そのものが、
長年の “仕事の癖” を続けてしまっているのかもしれない。
封鎖された地下書庫で、
今日もまた、紙が静かに——
「ペラ……」
と、めくられているのだろう。









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